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Sanshiro’s diary

大した事もない日常だけど…

小説 「大学生活」

 

第2章         かれん

 

  僕はやのと共にやのの部屋に入ると、やのは「まだ寝ないだろ?」と僕に冷蔵庫から350mlの発泡酒を差し出した。

「とりあえずのもーぜ」

「そうだね」 プシュッ

「じゃ、乾杯」「…」「アーっ いやぁたみがいたから楽しかったよ」

「いやいや、そーっしょ」

「いーねたみ、いーよたみ!もーずっとここにいろよ」

「うんそうしようかな」

といってたところにやのにLINEがきた。

やのはそれを見ると、やのの表情はいってんして曇った様にみえた。やのは発泡酒の缶をぐいっとのんでLINEをそのまま放置し返信する事をせぬまま

「いやなんでもない、すまんね」といった。

「誰?」僕は聞いた。

「いや誰でもないよ」といってるところにまたLINEはなった。

今度はやのは見る事すらしなかった。

僕は

「いや、自分の事はお気になさらずに、LINEみていーよ…僕もLINEするかな」

「いやいーんだよ」やのは途端に機嫌が悪くなった。

「かれんだよ…だからいいんだよ」

「かれん? なんていってるの?」

  たみはさっきの事を思い出して心配そうに聞いた。

「しょっちゅう来るの?」

「ぁーそーなんだ。面倒臭いからいーんだよウザいんだよあいつ」

「いやよくないよ…」

やのは今度は発泡酒の缶をまだたっぷり残っているであろう残りをそのまま一気に飲み干して缶をほっぽり投げていった。

「俺が今の彼女と結婚したい事が気に食わないらしい…会って話したい…だとー。」

「今?」

「あぁ…7階の避難扉の前で待ってるとー馬鹿じゃねこんな時間に…」

「いや…僕は会ってきた方がいいと思うよ。下手に行かなかったら…」

「そうかなでも会いたくないんだよね俺はもうあいつに」

「でもアレだけ仲良かった人じゃん…どうしてまたそんなになっちゃったのさ。」

たみは日頃から溜め込んでいたものを吐き出しはじめた。

「かれんは本当にやのの事が好きそうだし。僕はかれんを幸せに出来るのはやはりやのしかいないんじゃないかってそう思うし…やのもかれんのほうが幸せの様な…」

「いやそれはたみが決める事じゃねーし全く興味なくなったんだよね。付き合ってもうやんなったというか…たみにはオレの気持ちはわからねーよ」

「いやでもかれんはやのが本当に他の子と結婚したいって言ってるか確かめたいんじゃないの?」

「なんでいちいちあいつに言わなきゃならないんだよ‼︎」

やのは今にもたみに食ってかかりそうであった。

しかしたみは続けた。

「かれんにはやのは言わなきゃならないんだよ!それにやのが会わなきゃかれんが心配なんだよ!」

「はぁ?なにいってんのたみ」

「かれん下手な真似なマネしなければって…なんだよ7階の避難扉の前って…。」僕はかれんが自殺しそうな気がしてそういった。

「は?なんだよそれ。なにいってんだテメーは。」

やのは嘲笑った瞬間、表情を一転させ凄い剣幕でたみの胸ぐらをつかんでそう言った。しかしふとその手を離すと「かれん」やのはおもいたったように部屋を飛び出していった…

   たみは部屋にひとりだけ取り残された。たみは自然とかれんのことを思った。たみはかれんがつね日頃から熱烈にやのの事を好きに思っていたのを知っているそれはどれくらい想っているかはかりしれないようにたみにはみえた。たみがかれんと話をしている時にやのが彼女と通りすがったりすると、かれんはいつの間にかやのの事を眼でやのがいってしまう迄おってそれからいつも哀しい顔を隠そうと軽くわらってみせるのであった。それはかれんが付き合っているイケメンの彼氏の前でもそうらしかった。それからいつもかれんとその彼氏の間でケンカになるみたいであった。かれんは他の女の子に今の彼氏は冷たいともう別れたほうが良いのかなとやのは彼女と別れないのかなと今やのはあたしのことなんかもうなんともおもってないかもしれないといつも弱音を吐いていたらしい事も知っている。その上やのが他の人と結婚したい事がかれんに知れたら…たみは日頃からその事を気にしていた。そしてとうとうかれんにやのが他の人と結婚したい気持ちが知れた。たみはだんだんふつふつとその嫌な予感がそのまま的中してしまう様な気がして、たみもいつのまにか部屋をでて7階のかれんのもとへ向かいはじめた。「そんな事ねーよな。自分の思い過ごしだよな。」たみは必死に自分に言い聞かせていた。しかしやのが急に飛び出していった事も何かたみはかれんに危険を感じずにはいられなくなってしまった。

  たみはいつのまにか必死に7階まで階段を駆け上がっていた。6階まで来るとなんとなく上から風が吹いてくるのが感ぜられた。たみはそれをふりしきってもっと懸命に階段を駆け上がった。

  そして7階の避難扉の前に来た。非常用避難扉は何故か開いていてそこから物凄い風がこちらに向かって吹き込んでいた。そしてその中にやのの後ろ姿が見えた。「やの‼︎なにしてるんだよ‼︎」自分は叫んだ。「いいからお前も引っ張れ‼︎」やのも叫んでいた。馬鹿馬鹿なんだよそれ僕はやのの隣にくるとやのは避難扉から必死にかれんの腕を掴んで離さないでいた。やの「いーからお前も引っ張れ!」「いいのよたみくんもう…」しかし僕はかれんの腕を掴もうと…しかし扉の窓が小さくてたみの腕は入らない。「なにやってんだよ‼︎」「駄目だよ窓が小さくて腕が入らない」たみはいつのまにか眼から涙をこぼしていた。やのは懸命に腕を引っ張っていた。かれんは僕に「泣かないで」といった。

「いいのよたみくん私はね一生やのの忘れられない人になりたいんだ…」

 やのはひたすらかれんの腕を離しはしなかった。やのは必死に涙を堪えながらかれんの腕を懸命に引っ張っていた。やのは限界が来てもそれでも必死にかれんの腕から自分の腕が折れようとかれんの腕を引っ張り続け離しはしなかった。

   でも…

「やの辛そうだから私もういくね」

   かれんはやのが死ぬ程必死に離しはしない腕をやのがいつまでも懸命に支えていたかれんの腕をかれんはいとも簡単に振りほどいてそういった。  

   

 やのはまさかかれんが…信じられぬままその光景から眼をそらす事が出来なかった…

 

   それからどの位時間が経ったのか…

 

やのはそのまましゃがみ込んで身体を丸くして膝に顔を埋めたまま震えていた。たみも崩れ落ちる様にやのを覆う様にしてやのの上に重なると、やのの震えがたみの体にも伝わってきてたみも一緒になって震えだした。たみはやのが震えているのを感じながらひたすら「何が?何がおこってしまったんだ」とそればかりをひたすら自分に問いかけていた。

 

  警察は恐らく気がついた人が呼んだのだろう。まもなくサイレンの音が聞こえてきて…かれんは救急車で運ばれたがもう手遅れだろうということであった。それから現場検証が始まり僕とやのは警察の事情聴取を受けた。最後に警官のひとりが

「死亡したかれんさん最期は微笑んだまま息をひきとっていたよ…きっと思い残す事はなかったんじゃないかな」

といった。それを聞いたやのはとうとう座っていた椅子から崩れ落ちながら泣き出だした。

  警察からは僕が先に出された。出されると母親が迎えにきていた。僕はまわりの友達に「とりあえず帰るわ」と告げた。女の子のほとんどが泣いていた。男の中でも泣いてる奴もいた。罰ゲームを約束した友達は「あぁそれがいいよとりあえず帰んな」とかなしそうにいった。

 

 

  それからやのはまるで人が変わってしまった。会話で賑やかだったやののまわりは全くの無言の空間となっていつしかやののまわりには人が寄り付かなくなった。結局結婚するんだといっていた彼女も最初は必死にやのを立ち直らせようと色々頑張ったが、やのが全く口を開かないのにしびれをきらしてそのうち関係は悪くなり彼女はやのと別れた。

  新学期が始まりだしてもやのはまるで廃人になったかのようで住んでいた寮の部屋もすさみはじめそのうち授業も受けずやのはそのすさんだ寮の部屋から外に出ようとしなくなった。

  たみは時折やのの部屋を訪れた。たみもまたやのと会話をする事はなかった。しかしたみはしばらくやのの部屋でやのと一緒の空間を過ごすと

「やのまた来るね」

といって帰っていった。

 

第3章           マッスルダウン症

 

                                                 へ続く…